3.教育行政の推進について
 
■@特別支援教育について
 文部科学省の昨年の調査によりますと、通常の学級で学ぶ特別な支援が必要なADHD、LD、高機能自閉症等の児童・生徒は、全体の約6パーセントいるといわれています。
クラスに1〜2人いる特別な教育ニーズをもつこれらの児童を的確に理解すること、効果的な指導のあり方を探ること、学校全体で支援する体制を作ることは、現在重要な課題となっています。現在の宝塚市の抱える現状と課題・対策についてお伺いいたします。
〈当局回答〉

 ■ 特別支援教育推進体制モデル事業として、教育的支援体制の整備を開始いたしました。巡回相談員チームを構成し、相談体制の確立に努めなければならないと考えております。

2 次 質 問 と 要 望

 文部科学省からの特別支援教育モデル事業が、一人ひとりの子どもの指導に役立つ実効性のあるものになるように、学校現場研修や保護者への啓発・広報活動を、よろしくお願いいたします。
ちなみに、行政視察に行きました東京都文京区では、ADHD、LDなどの子どものために、「いずみ」というコミュニケーションの通級教室が開設されていました。この事業を生かすために、文京区内の全児童家庭に教室の紹介ビラが配布されています。その中では、LDとかADHDとか高機能自閉症という言葉は、いっさい使われていないのです。「我が子へのこんな願いにこたえる学級です。」友達との関わりを深めてほしい。自分の気持ちを上手に表現させたい。集中力をつけて落ち着いて学習させたい。学習や遊びに積極的に加わってほしい。ある特定の苦手な教科も意欲をもって頑張らせたい・・・などの例えを示してあるのです。
集中力がないとか表現が下手とかのように、マイナス面ととらえずに、課題解決を願う方向性がわかります。保護者と学校との共通理解が何より大き課題でありますので、このような取り組みをぜひとも参考にしていただきたいと思います。

 

 
 
A当面の中学校の課題について 
 次に当面の中学校問題についてお伺いいたします。
ひとつは、緊急教育課題をかかえているA中学校B中学校の教職員の勤務実態についての調査結果とそれに対する見解も聞かせていただきたいと思います。また、2学期からの教育課題への対策もお伺いいたします。
〈当局回答〉

■ 生徒指導上の緊急課題克服のために、教育再生プロジェクト委員会を立ち上げました。また、児童・生徒支援加配教員の配置につきましても、県教育委員会に強く要望を重ねるとともに、全力で学校の支援に努めてまいりたいと考えております。
2 次 質 問 と 要 望

 教職員の超過勤務の実態から、教育現場の状況理解が深まることを願っております。福祉行政の充実のところでも、中学生の居場所づくりの話をいたしました。では、今、どこが居場所になっているのでしょうか。それは、学校なのです。生徒たちは、いったん下校した後、再び学校に集まってきます。授業に入らない子どもの多くが、家にもいられない、公園やコンビニにいれば通報され追い出される・・・どこにも居場所がなくて、夜も学校にやってくるのです。夏休みもずっとです。したがって、教職員は夜もその対応に追われます。24時間、学校が居場所なのです。休日は休日で、部活動の指導です。4月から一日も休んでいないという教職員が、何人もいることをご存じですか。 少しでも子どもと向き合う時間を確保しようと、努力を続けているのが現状です。しかし、そんな無理なことをしていれば、どんなにタフな人間でも、身も心も疲れ果ててしまいます。どうか、教職員が意欲を持ってがんばれるような教育環境を作ってください。子どもの視点・保護者の視点・地域住民の視点はもちろん、教職員の視点をも、コミュニケーションをよくして、行政は取り入れていただきたい。

 


■B「障がい」がある児童生徒の課題解決のための介助員増員
 「障がい」がある児童の課題解決のための介助員配置の現状をお聞かせください。「医療的ケア」の必要な子どもへの対応についても合わせてお伺いいたします。
〈当局回答〉

■ 障がいがある児童・生徒の課題解決のための介助員増員については、年々充実に努めているところでございます。
2 次 質 問 と 要 望

 どの人もニーズを抱えており、それを支え合うのが社会の中の私たちの役目です。この子だけ特別なニーズがあるから、分けて対処するというのではなくて、お互いの必要なニーズをお互いが認め合いながら、一緒に学ぶ、生活するということをめざしていかなければなりません。
大事なことは、その子の存在を否定しないことです。その子が、まずそこにいることを大事にする中から、その子のもっている温かさとか優しさが、一緒に生活するとみえてくるのです。
 そのためには、学校教育のあらゆる場面に、どの子も参加することができるように、きちんと対処する責任が学校にはあるはずです。
 例えば、自閉的傾向にある児童・生徒が、思春期をいかに乗り切るかで進路が決まってくることもあります。どうしてもマンツーマン対応が必要なときが多々あるのです。また、難聴児童に対する場合も、きめ細かく状況を伝えてやる手だてがあれば、多動的傾向もセーブできるのです。
 危険認識が稀薄な児童の 安全確保のためにも、人的支援が不可欠です。
 「医療的ケア」と「生活介助」のとらえ方もわずかの違いしかありません。医師の指示・指導をきちんとうけたうえで、対応できる人をつける・・福祉関係諸機関との連携も含み、サポートの方向性をさぐるべきではないでしょうか。そういった対処がなければ、親が病気になれば、その子も学校を休まなければならないという現状なのです。この子の学習権を保障するのが、行政の責任と考えます。

 



■Cケアの必要な子どもたちのための子ども支援サポーター配置事業の拡充
  1学期を終えての、心のケアの必要な子どもたちのための、子ども支援サポーター配置事業の成果と課題をお聞きしたいと思います。さらに今後に向けての取り組みの方向性をお伺いいたします。この事業は、児童生徒と支援サポーターの1対1の対応が中心となりますので、ケアを必要とする子どもや保護者との信頼関係を築くことが何より難しく、かつ大切です。1学期にできた信頼関係をくずすことなく見守り、配置校の見直しの際も引き続いてケアできるように、柔軟な対応を望みます。
〈当局回答〉
 
■ 子ども支援サポーター事業については、心理相談員も別室登校指導員ともに大変よい成果があがっております。今後とも、学校の実情や子どもの実態を常に把握し、慎重に対応してまいりたいと考えております。
2 次 質 問 と 要 望

子ども支援サポーター事業は、現在の宝塚市の教育課題解決に向けた取り組みのなかでも、大変すばらしいものであり、目に見える形で大きな実績もあげています。保護者・学校関係者・そして何より子ども自身がそれを実感しています。しかし、小学校2名中学校2名では、とてもすべての学校をカバーすることができません。是非とも、さらなる増員など、この事業の拡大・充実をよろしくお願いいたします。

 財政難の宝塚市ですが、ひとづくりにかける教育予算はなんとしても削減しないように強く要望いたします。 

 

■D青少年の健全育成について
  次は青少年の健全育成についてです。全国的に中学生が関わる事件が多発しています。学校・地域・保護者・地域が、それぞれの立場を理解し合い、協力・連携することの必要性は言われて久しいですが、具体的に、そして積極的に実績をあげることができていないのが現状です。困難に直面したとき、子ども達を守るために、迅速な行動がとれるよう、情報を共有し、関係を強化していかなければなりません。

宝塚市では、中学校区に青少年育成市民会議があります。この青少年育成市民会議や青少年センターの機能を充実させることが、今の中学校問題を考えると急務ではないかと思います。また、実績がある事業を評価すること等から、行政としてきちんと方向づけを行い、助成金を減額しないようにお願いいたします。合わせて、青少年の健全育成についての組織の再構築も必要です。現在までの活動状況をお聞きしますと共に、今後の方向性をお伺いいたします。
〈当局回答〉

 ■ 家庭・地域・学校が緊密な連携を図りながら、未来を担う青少年の健全育成の推進とその支援に努めてまいりたいと考えております。

■E学校図書館司書の配置
 次に、学校図書館司書の配置についてお伺いします。今年度から、各校に司書教諭の配置が決められました。司書教諭の仕事としては、主に調べ学習に対する利用指導と、本の紹介や読み聞かせなどの読書指導があります。さらに、学習内容を把握し必要な図書をそろえること、つまり、新規購入や公立図書館から貸し出しをしてもらうのも仕事です。もちろん台帳整理などの管理業務もあります。また、情操教育として「6ヶ月からのブックスタート」が提唱されていることもご存じだと思います。学校の児童・生徒への働きかけにとどまらず、保護者や地域の親達にも、読書の大切さを啓発していく役目なども、これからの司書教諭が担うことになるのではないかと思います。このように、学校図書館における、司書教諭の役割は重要です。しかし、現在は専任の司書ではなく、学級担任との兼務です。そのため、子どもが必要としているときに、そこにいてアドバイスしたり指導することができません。一日も早く専任の司書教諭が配置されますようにお願いしたいと思います。市としての、司書教諭についての認識と今後の方向性をお伺いいたします。

2 次 質 問 と 要 望

 最後に、司書教諭配置の要望をさせていただきます。新しい時代に対応した「知と心のメディアセンター」としての学校図書館の施設・環境づくりの研究が各地で始まっています。文教厚生常任委員会行政視察に行きました中高一貫校の秋田市立御所学院では、「学校全体を図書館に」という考え方のもと、自分の学習の過程で読むべき読書材や必要な資料を、自ら選択し、活用するという生徒の活動を支援する体制が整っています。学校のあらゆる場所であらゆる学習ができるよう、多目的スペースや教室をすべて活用し、校舎内に分散して配置され、生徒が自由に有効に利用していました。市内の中学校の図書館の有効活用も重要な課題ではないかでしょうか。そして、そのような取り組みのためにも、ぜひとも専任司書教諭の配置が望まれます。

 


■F学校図書館間、学校と公立図書館の情報・物流ネットワークの構築
 昨年度から学校の蔵書をバーコード管理する取り組みが始まりましたが、現在までの進捗状況はどうでしょうか。蔵書の管理や検索システムなど、各学校を結ぶ情報ネットワークも含めてお答えください。また、学校図書館と学校図書館を結び、調べ学習や読書活動に必要な図書の相互貸借をする物流ネットワークの構築もすすめていただきたいと思いますので。今後どう発展させていくのか方向性をお伺いいたします。さらに、学校図書館と公立図書館の連携も視野に入れた、新しい環境づくりやネットワーク構築の研究も必要なのではないでしょうか。
〈当局回答〉

■ 専任司書教諭の配置を行うよう、県教育委員会に対する要望活動を展開してまいりたいと考えております。学校図書館ネットワークの有効活用も図ってまいります。

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