2.教育・福祉行政の推進
 
■@学校における子どもの安全について

1点目は、学校への外来者の対応についてです。2001年6月の大阪教育大学付属池田小学校事件の教訓から2年。現在の「外来者への対応」並びに「緊急時の教職員の対応」などはどのようになっているのでしょうか。管理職も変わり、新しく採用された教職員もいますので、再度、定期的に徹底する必要があると思います。現在はどのような状況でしょうか。

2点目は、登下校時の子どもの安全についてです。全国で、下校途中の子どもが連れ去られたり行方不明になるなどの事件が起こっています。また。ひったくり・性犯罪などの被害も市内で多発し、子どもの安全が脅かされています。
 アトム110番連絡車の走行も始まりましたが、今一度、アトム11番協力の家の確認など、地域と結びつきを深め、保護者・地域の大人・教職員が、子どもたちを見守り育む「安心安全のまちづくり」を目指さなければなりません。現在の取り組み状況と今後の課題についてお伺いいたします。



 3点目は、学校施設の安全性についてです。市内の学校には色々な面で危険な校舎があります。多いのは「老朽化した校舎」です。典型的なのは雨漏りです。・・水が溜まり腐食し、天井が落下したところもあります。地震時のヒビと凹凸が残る教室もあります。次に「増築における問題点がある校舎」です。渡り廊下に屋根がない、渡り廊下と車の通路が交差する、校舎に段差があるために渡り廊下が傾斜している学校では車椅子を押すことも大変危険です。洋式トイレがなかったり、あるのに車椅子で入れないなど、「バリアフリーでない施設」もまだまだたくさんあります。さらに、「安全性に問題がある校舎」ですが、結露がひどく、歩くと転倒の危険・ベランダがなく落下防止柵もない窓・防火扉がなく、避難経路もない既存不的確校舎・防災マップの急傾斜地崩壊危険箇所に建っている校舎・・・これらの現状把握と課題を聞かせてください。

 4点目、長尾小学校は、「老朽化した校舎」と「増え続ける児童数」という大きな課題を抱えています。そこで、次のような観点で改築計画の進捗状況をお伺いいたします。工事期間中のプレハブ校舎を含めた学習環境づくり・工事期間・工事車両などと児童の安全対策・給食棟・体育館などとの通路の問題・段差のある校舎・傾斜のある渡り廊下の解消・避難経路の確保・・そして何より、子どもたちのストレス解消など、「心のケア」
も必要不可欠です。児童数急増と、このような現校舎の多くの課題を、解決・改善していく方向で計画が進んでいるのでしょうか。宝塚第一小学校や仁川小学校改築工事の取り組みから、長尾小学校で生かせるものはぜひ生かしていただきたいと思います。そして、できる限り短い工期で、できる限り子どもの教育に支障がないように進めていただきますようお願いいたします。

〈当局回答〉
外来者・緊急時対策と、登下校時の安全対策及び今後の課題について
(教育長)緊急ホイッスル・県警ホットライン等を再確認し、名札の着用も徹底させる。地区児童会等で、緊急時の対応を指導し、地域にも協力を呼びかける。

学校建築の方向性・理念・取り組みと、校舎の建て替えに関して
(管理部長)災害に強く、快適に学習に取り組め、しかも環境に優しい学校施設づくりを目指している。保護者や教職員で組織された「建て替え委員会」からの提言もある。


2 次 質 問 と 要 望
  2次質問は「これからの学校建築に求められるもの」についてお伺いいたします。すでに先ほどの長尾小学校改築計画で伺ったことと重複することも少しありますが、市内のこれからの学校というもの全般についての見解をお聞かせいただきたいです。
 これまでの学校は、長方形の建物・片側廊下・同じ大きさの四角い普通教室中心で、とても画一的でした。学校設備も、トイレは5K(汚い・臭い・暗い・怖い・壊れている)といわれ、子どもたちから敬遠され、健康問題を発生させる原因にもなっているのです。空調設備がないため、38度以上にもなる教室。真冬には底冷えから腹痛をおこす子どももいます。学校に冷暖房なんてぜいたく・・といった声も聞きますが、40人の子どもたちと数日間教室で過ごしていただければ、あるいは、狭い体育館に1000人近くの子どもたちと並んで立っていただければ、その劣悪な教育環境を肌で感じていただけるのではないかと思います。また、もし仮に、市役所庁舎内の冷房を数日間止めてみれば、いかに仕事がはかどらないかわかっていただけるのではないでしょうか。気分が悪くなったり病気になる職員もでるのではないでしょうか。
 一般の官公庁の建物や家庭の水準に比べても学校の施設・設備は時代の変化に取り残され、子どもたちにとって魅力のない場所になっています。さらに、最近では「シックスクール症候群」という新しい問題も生じてきています。
 これからの学校建築に求められるものは、中長期的な観点に立って、計画的に整備を進めていくことが不可欠ですが、見方を変えれば、従来ややもすると画一的であった学校施設が、時代の要請に応えた、個性と特色を持った学校に生まれ変わる絶好のチャンスであるともいえます。
 それでは、どんな点の配慮が必要になるのでしょうか。
 1つは、「学びに応じた学習空間を」ということです。少人数学習やメディア学習ルームなど、多様な学習を行うための学習空間を工夫してはどうでしょうか。
 2つめは、「子どもたちに快適な生活空間を」ということです。学校は学びの場所であると共に、生活の場でもあるのです。きれいでさわやかなトイレ・冷暖房設備・楽しく食事できるスペース・休息したり友達と談笑できるスペース。また、子どもたち一人ひとりの居場所としての空間も必要です。
 3つめは、人と人をつなぐ地域コミュニティーの中心として、支え合う生涯学習の場としての機能。勿論バリアフリーでなければなりません。
 1995年1月 阪神淡路大震災の時に、私は宝塚第一小学校に勤務しておりました。それまで、学校は子どもの教育の場であるという認識しかなかったのです。ところが、あの日 午後になって、被災された地域の方々が続々と避難してこられました。学校の教室で、図書室・体育館で、さまざまな人々が、身を寄せ合い助け合い 支え合って生きていこうとする姿を目の当たりにし、また自分も共に過ごす中で、人と人をつなぐ「地域の拠り所」としての学校のあり方を、はっきり確認することができました。大変悲しく辛い震災でしたが、そこで学んだことは貴重な体験であったと痛切に感じています。そのような災害が再び起こらないように祈るばかりですが、経験をふまえて常に万全な準備が必要です。災害時における避難所などの機能が果たせる整備の状況をお伺いいたします。
 そして、4つめとして、環境に優しい学校「エコスクール」でもあることも重要な視点です。地球温暖化や酸性雨など環境破壊が地球規模で問題となっています。学校施設を、環境と共生するエネルギー消費の少ない建築としていくことは大きな意義があると思います。太陽エネルギー利用・屋上緑化・雨水利用などが考えられるのではないでしょうか。
現在の宝塚の学校建築の方向性や基本理念・取り組み状況などをお伺いいたします。
■A当面の教育課題について
次に、当面の教育課題についてお伺いいたします。学習指導の充実。児童・生徒の内面理解、心のケア。生活指導。地域・保護者との連携。そして、教職員のメンタルヘルスケア。など、これまでの取り組み状況、並びに、今後の方向性をお伺いいたします。
2 次 質 問 と 要 望
 教育課題解決の取り組みで、大切にしなければならないのは「目の前の子どもと向き合って、その子どもがどう考えているのか、どうしたいと思っているのか、受け取ることであり、子ども一人ひとりを尊重する」ことではないでしょうか。その実践として、子ども支援サポーター事業はすばらしい実績をあげているようで、配置されていない学校から「子ども支援サポーターを配置してほしい」との強い要望もあります。来年度にむけて、ひとりでも多くの支援サポーター配置がされますように、この事業の拡大充実をお願いいたします。
 また。心身ともに疲れ果てている教職員が、前向きに意欲を持ってがんばれるように、理解を深め、応援する教育環境づくりを、ぜひとも進めていただけますよう、よろしくお願いいたします。
〈当局回答〉

(教育長)子ども支援サポーターについては、本年度同様の配置を考えている。
管理職がリーダーシップを発揮し、日々の指導に前向きに取り組めるような職場作りに努めるとともに、教職員の心のケアにも努める。

 
■B来年度の学級申請及び教職員配置について
3点目は、来年度の学級申請及び教職員配置についてお伺いいたします。12月から1月にかけては、来年度の障がい児学級認可(協議・同意)申請の時期となります。各学校の状況把握と今後の方向性をお聞かせください。
 加えて、新学習システムや生徒指導などの、各学校への加配教員配置の要望についてもお聞かせください。
2 次 質 問 と 要 望
 地域の学校に通いたい、地域の子どもとともに育てたいという願いは、その子の社会的な自立を支援していくという教育目標につながります。その上で、障がい児学級籍を取得することの意義や、「原学級」との交流の展望など十分な検討も必要です。4年間続けて申請し続けても、学級設置ができていない現状もあります。なんとか5年目のその子の願いは受け止めていただきたいのです。 
 クラス継続の場合は勿論ですが、新たな学級申請について、特に、子ども・保護者の希望を優先した、真に必要な障がい児学級認可を目指して、県教育委員会へ強く要望をあげていただきますようにお願いいたします。
教職員配置の要望の最後に、復興担当教員の配置についてお願いいたします。県教育委員会の調査によりますと、阪神・淡路大震災を直接体験したために、精神的に不安定になり、心のケアを必要とする兵庫県内の小中学生は、1908人にのぼるとのことです。8年たった今もなお、心の傷が癒えない子どもたちが、宝塚市内にもいるのです。
地震の夢を見て泣くなど震災の恐怖によるストレスを抱える子、外国の地震の被害映像を見たショックで「幼児がえり」した子、心的外傷後ストレス障がい(PTSD)とみられる重い症状の子もいます。
 国からの予算は減らされていきつつありますが、どうしても継続的な取り組みが必要です。この復興担当教員の配置についても、強く要望していただけますよう重ねてお願いいたします。
〈当局回答〉

(教育長)子ども一人一人のライフスタイルを見通した適正な就学ができるよう
努める。
 
■C教育・福祉事業費見直し案について
都市経営会議決定として示された、10月27日の「事務事業見直し第1次対象項目一覧」からは、本当に厳しい宝塚市の財政状況が伝わってきました。私も、見直しは必要であろうと理解しているつもりです。しかし、一律削減にはどうしても納得できません。見直しをしっかりすることで、無駄なもの・節約できるもの・我慢できること・当面休止するもの・などを探る必要はあります。しかし、どうしても残すべきものもあるはずです。財政をここまでにしてきたのは市の責任です。だから、何を減らして何を残すべきか 必死になって考えるのも市の責務ではありませんか。一律削減というのは、結局、弱者や子どもにツケをまわすことなのです。その点について見解をお聞かせください。 また、市民にはこの削減が絶対的な「市の決定」として、上から下へのごとく通達されました。丁寧な説明に欠けるだけでなく、そこには弱者に有無を言わさぬ、権力を笠に着た まさに「おかみ」の物言いがあったのではないでしょうか。
 私は決算委員会で質問いたしましたが、改めてお伺いいたします。この 都市経営会議決定として示された、10月27日の「事務事業見直し第1次対象項目一覧」は、議会の知らないところでの「決定」なのですか? それとも「見直し案」なのですか?
 「なぜ弱いところから削るのか。教育・福祉をないがしろにしていくのか。投資的事業の見直しなどが先ではないのか。」という市民の怒りや悲しみをどう受け止められますか。
〈当局回答〉

(助役)事業見直しについて市民の皆様に対する説明は、十分理解を得られるよう
にていねいにすべき問題だと思っている。

2 次 質 問 と 要 望
 他の議員の方々のご質問と同じ答えしか返ってこないことはわかっていましたが・・伝わってくるのは、ただ「財政が苦しい。理解してほしい」のかけ声ばかりです。市民からの「生活が苦しい。支援してほしい」の願いは聞こえていますか。
 保育料の値上げ・地域児童育成会有料化・幼稚園や学校運営事業費の削減は保護者負担増につながるとすれば、少子化社会の子育て支援政策を真っ向から否定することになるのではありませんか。児童福祉施設入所児等助成事業については、削減ののち廃止とまで通告されました。自分の子に障がいがあるなかで頑張っている保護者の気持ちを少しでもわかろうとしてください。宝塚市内にあった朝鮮初級学校がなくなり、伊丹に通わねばならない子どもたちは遠距離通学を余儀なくされ交通費負担も増大しています。それでも民族のアイデンティティの確立のため、民族教育を守ろうとしている市民の願いを切り捨てるのですか。その子が生きていくために、その子も保護者も、課題に立ち向かう力が必要なんです。それを応援していくのが行政の役目ではありませんか。
 
3次 質 問 と 要 望
 厳しい財政状況の宝塚市。精神論ではダメだと笑われるかもしれませんが、この危機を乗り切るために、どう知恵を出し合っていくか、市民とともに考えて行くことが今こそ必要です。お金は少なくても、いえ、少ないからこそ、人と人とのつながりを一層大切にしていかなければなりません。たとえ、お金を失っても、人の心が元気であれば、前に進むことができるはずです。市民・職員のやりがいや夢をバネに成長軌道を探ることが必要です。頑張っても報われない・・・そんな、人の心をずたずたに切り裂くような政治ではなく、「生きる力」を応援する、その人と同じ側に立つ温かみのある市政を実現させてほしいと切望しております。
 
 
 

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