3.教育行政の推進について
 
■@現在の宝塚市の教育課題について
 勝山教育長が文部科学省より赴任され2ヶ月あまりたちました。宝塚市の現状を充分理解していただき、教育行政推進のため、お力を発揮してくださいますよう期待しております。
 まず最初に、現在の宝塚市の教育課題についてお伺いいたします。また、その背景に、どういうことがあると捉えておられるのか、お聞かせください。そして、数年来の懸案となっている、この課題の、解決の糸口は掴めたのでしょうか?
 宝塚市教育再生プロジェクト会議がまとめた「中学校教育再生のための提言書」の内容も含めて、委員会の見解をお伺いいたします。

 「学習指導の充実」「児童・生徒の内面理解の深化」「地域・家庭との連携」「信頼される学校づくり」などの改善を中心に、人的支援を十分に行い、引き続いて課題解決にむけて取り組んでいただきたいと思います。

<教育長答弁>
 教育課題としては
  ・確かな学力の向上
  ・豊かな心の育成
  ・信頼される学校園づくり
教育再生プロジェクトの提言も踏まえ、積極的に取り組んでいきたい。
 
■A学校選択制について
 教育を受ける側の子どもたちや保護者は、何を求めているのでしょうか。通学が安全で、落ち着いた環境のなか、いじめにあうことなく、友達と楽しくのびのび過ごせる、地域に開かれた学校を望んでいるのではないでしょうか。
 「魅力ある学校づくりが大前提」といえます。
 また、震災の教訓として、「子どもの顔が見える地域」「地域コミュニティの確立」が謳われ、宝塚市あげて「地域が支える学校づくり」に取り組んできている経過があります。このことは、単に学校の問題ではなく、安心安全の宝塚市のまちづくり、にとっても重要であると考えていますが、いかがでしょうか。
 さらに、他の自治体で、差別化や不公平感につながった例や、男女比が極端に偏った例など、学校選択制から発生する、さまざまな問題も報告されています。
 1997年に「通学区域制度の弾力的運用について」文部省通知がだされ、相当と認めるときは、保護者の申し立てにより、その指定した小学校または中学校を変更することができる」とされています。
 これが就学校の変更であり、保護者の申し立てが認められるのは、当初、地理的な理由や身体的な理由でしたが、それにいじめへの対応が加わり、さらに今日では、これ以外の場合でも、児童生徒の具体的な事情に即して相当と認めることになってきています。
 つまり、保護者の要望に応じて校区変更することには、そもそも、もはや壁はないわけです。
<教育長答弁>
 宝塚市学校改革審議会を設置し、様々な角度から検討を進めている。
■B教育環境整備について
 今年の夏は、猛暑ではなく「酷暑」といわれるほど厳しい猛烈な暑さが続きました。私は、昨年の12月議会でも「学校の冷房」についてお願いいたしましたし、8月24に行われました「子ども議会」でも、その要望が強く出されました。
 35・6度にもなる教室は、湿度も高く、汗が教科書やノートの上にボトボト落ちるような状態です。昔と違い、家庭で冷房に慣れた子ども達にとっては、もはや学習に、集中できる場所ではありません。これが、豊かな学びの場所といえるでしょうか。体温があがり、のぼせや軽い脱水症状をおこしたり、貧血症状になったりと、体調をくずす子どもが何人もでた実情を、どうとらえておられますか。
 「学びに応じた学習空間」「快適な生活空間」としての機能を充分果たす学校づくりについてお伺いいたします。
 さらに、昨年より議会で何度か発言させていただいております、教職員の超過勤務や、病気休暇の取得状況などにつきましても、実態を充分把握し、支援していただきたいと思います。現在のメンタルヘルスケアについてお伺いいたします。
 「教職員は最大の教育環境である」という昨年の議会答弁は、大変心強い励ましになりました。学校現場で、少しでも子どもと向き合う時間を確保しようと、努力を続けている教職員が、これからも、意欲を持ってがんばれるような教育環境を作ってください。
<教育長答弁>
 施設整備については、鋭意努力していく。教職員のメンタルヘルスケアについては、メンタルヘルス研修会を毎年実施している。
■C教育長の「学力観」について
 生きる力の育成と、ゆとりの教育が謳われたと同時に「学力低下論」が展開され、「学力の向上を、どう実現していくのか。」といった視点にすり替わっていこうとしています。私には、今日の「学力問題」は、危機から改革が、ではなく、教育改革によって教育危機が生み出されているのではないかとさえ思えてくることがあります。
 教育をめぐる議論と政策が、活発に展開されてはいますが、そこに、子どもや保護者や教育現場の実態からの視点が失われているようにも感じます。
 その顕著なものは、学力が、知識・理解・技能という「見える学力」の面だけで語られることです。「覚えましたか」「わかりましたか」「できましたか」というような、いわゆる受験学力です。
 しかし、「学力低下」において深刻なのは、むしろ「見えない学力」である<思考力・判断力・表現力>といった高次な学力ではないでしょうか。そして、その下地にあるものが、<関心・意欲・態度>です。
 「自分の感じたことを、自分の言葉で語れる子どもに育てたい」そのためには、知識や技能を豊かに活用する「学びの経験」が重要です。そしてさらに、「その子の生き方を、その子の価値を、大切に実現していくためのカリキュラム」が必要です。
 そこで、教育長の「学力観」をお聞かせいただき、このような力をつけていくための、教育改革に結びつけて考えていきたいと思います。
■■学力2次質問

 学力低下はよろしくない、学力向上を図らねばならない。そのためには、どこの点数が低いのか調べなければならない。共通的なテストを実施し、比較し、点数の悪い学校や、クラスの教員、子どもたちには大いに頑張ってもらいましょう。といった学力実態調査が行われてきています。
 点数至上主義的な競争原理を持ち込むのではなく、もし仮に「学力テスト」を行ったとしても、学力の実態を実証的なデータとして捉えるようにすべきです。
 誰が、何のために、いかにしてそのデータを分析し、活用していくのか、そのことが絶えず問われ続けていかなければならないのです。調査という言葉で言われましたが、やっぱりテストだと思うのです。振り分けのためでもなく平均的数値のためでもなく。一人ひとりの子どもの最善の利益につながるテストでなければなりません。
 ここ数年宝塚市で国や県の学力テストはおこなわれたのですか。もしおこなわれたのであれば、誰が、何のためにおこなって、どのようにそのデータを分析して活用されたのでしょうか。確かな学力の向上のための学力調査ならば、それが教育改革にどう活かされたのですか。
 また先ほど、「見えない学力」のための方策として基準表がだされました。それをどのように活用していくのか、どういう形で評価してくのかという実質的な研修なども、充分できますように。評価することが次にどういうふうな教育実践に活かしていけるかという結びつきも考えながらの評価でないと、ただ評価することで終わってしまうのではないかと思っています。
 それから、習熟度別指導につきましても、欧米の研究では、一部のトップレベルの児童生徒に対する有効性は認めているのですけれども、中位とか下位の子どもに対する有効性だと、割と否定的な評価があります。だから、余計に学力格差の拡大にならないような方策を考えていただきたいと思います。
 次に、学校選択制につきましても、私も地域創造会議に何度か行かせていただいてお話も聞いたのです。東京の例でメリットを話されたんですけれども、宝塚の実態に応じた学校選択制というものを考えていただきたいし、そういう会議の中で一刻も早く実施してほしいよいう声が多々寄せられたという今の答弁については、ちょっと私は疑問をもっています。そういう声もあったかもしれませんけれども、逆の声もすごくたくさんあるというのが実状ではないかと思うんです。地域で支えてきた学校はどうなっていくのかという疑問もありましたし、差別化につながるのではないかという声も出席者からでておりましたし、今のままでは、まだそれぞれの学校の課題も解決されていないし、学校間格差があるような状態で、環境整備もされていない状況での選択制がどこまでできるのかなというような声もあります。両面の声、そして宝塚の地域がつくりあげてきたコミュニテイーとの関連の部分などを生かしながら、慎重に審議していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 

<教育長答弁>
 基礎基本を徹底し、自ら学び、自ら学び、考える力を育成することにより知識技能に加え、思考力、判断力、表現力を含めた確かな力をつけさせる。
■D教育予算について
 心のケアの必要な子どもたちのための、子ども支援サポーター配置事業も2年目をむかえました。
 教育育課題解決に向けた取り組みのなかでも、大変すばらしいものであり、目に見える形で大きな実績もあげています。また、障がいがある児童生徒に対応する介助員の配置も、年々増員していただいています。
 保護者・学校関係者・そして何より子ども自身がその成果を実感しています。支援を求めているすべての子どもをカバーすることができるように、拡大・充実、に向けての取り組みを、是非よろしくお願いいたします。
 また、本市では、児童用図書の購入予算については、財政事情が逼迫しているなかでも、充足率達成めざして比較的多くの配当がなされてきたことは承知しております。
 しかしながら、新学習指導要領の「生きる力を育む」教育や、総合的な学習をすすめる観点からも、「自ら調べ、自ら学ぶ」という自己教育力の育成には、教科書と連動した書籍や、新しい資料の充実が不可欠です。
 各学校での読書指導も充実してきておりますし、朝の読書タイムが、落ち着いた静寂のひとときとしても、よい教育効果があがっています。読書活動の充実についての見解をお伺いいたします。

 プレイパーク計画の質問でも申し上げましたが、子どもたちの自然体験や社会体験は、心の教育の面からも重要です。豊かな体験活動へのご支援や、積極的な予算措置を、どうかよろしくお願いいたします。
 教育は、10年先、20年先の未来への投資です。文教厚生常任委員会で新潟県長岡市を訪れ、小林虎三郎が、戊辰戦争に敗れた長岡の町を立てなおすべく、隣国から差し入れられた米を、「人づくりは町づくり」として、学校建設に使ったという「米百俵の精神」を学びました。
 次世代を担う子どもたちの育成は、社会の責任であり、自治体においても最重要施策とされるべきです。宝塚市においても、教育に関する予算は、可能なかぎり優先していただきたいと思います。市全体の財政の中における教育予算のあり方についても含めて答弁をお願いいたします。 

<教育長答弁>
 子ども支援サポーターの配置、図書の整備、体験学習等は大切なものと捉えている。
■E地域児童育成会について
 「宝塚市地域児童育成会条例」が制定され、来年4月から施行されます。自主的な学習や、生活態度の涵養・異年齢集団活動による仲間づくりの推進など、この事業の責任は重要です。
 特に、今後は有料化に伴うサービスの向上が求められていますが、待機児童解消に向けての方策や、施設面の整備などについて、現状と課題をお聞きしたいと思います。
 草野議員の質問の答弁では地域児童育成会への入所希望者をほぼ受け入れているとのことでしたが、売布小学校は、児童数も増加中で空き教室がない状態になっているとのことです。そのため、定員40人に対して、57人の入所希望があったのに、17人が入所できませんでした。施設さえ整えば、待機児童解消ができるにも関わらず、それに対しての努力がなされてこなかったとはいえないでしょうか。
 教室の間借り状態の、不安定さを露呈したといえます。また、現状では、学校間格差があまりにも激しいと言わざるをえません。条例化にともう、育成料の徴収するようになるわけですから、専用の育成会室を早急に建設すべきと考えますが、いかがでしょうか。
■■地域児童育成会2次要望

 最後に地域児童育成会につきましてですが、学校教育の場として学校が一番大切ですけれども、育成会も条例が制定され、事業としてキチッとしていくわけです。間借り状態の仮のところから、学校がいっぱいだからそこから出ていかなあかんとういうその状況では困ります。ではどういう保証がきちんとできるのか、学校関係者・青少年育成課の関連職員とか指導員さん・地域の関係者、そして何より保護者と子どもが何を願っているのか、充分受けとめながら、連携して調整し、安定した施設を整備していただけますように要望いたします。  

<教育長答弁>
 待機児童の解消、施設面の整備等、総合的な観点からの対応が必要と考えている。
 


もどる

Copyright 2003   kitanosatoko.com   Takarazuka-City Hyogo-pref.