3.学校選択制・二学期制について
 
■@学校環境施設面の整備について

 学校選択制と表裏一体ともいえる教育環境のうち、主に施設面の整備について質問いたします。
 現在の市内の小中養護学校にどのくらい空き教室があるのかという決算委員会資料をみてみますと、ほとんどの学校がゼロとなっています。
 しかも、小学校24校の特別教室のうち、視聴覚室のない学校7校。特別活動教室なしは19校。教育相談室なし13校。多目的室なし12校。ランチルームなし15校。普通教室の確保にも苦慮している学校もあります。
 小学校15校、中学校7校には、まだ教室に冷房がありません。
 長尾小学校は改築計画が進みはじめていますが、体育館の整備はできていないままです。音楽会を催しても、すべての保護者が鑑賞することができないため、二部制・チケット制なのです。地域の方々に開かれた学校づくりの妨げになってしまいます。
 そしてなにより、あの体育館は出入り口が1カ所しかない危険な構造なのです。1000人の子どもたちの体育館での集会の様子をぜひご覧いただき、解決方法を考えていただきたいです。
 売布小学校の運動場には、中国道からの騒音防止と妨球ネットを兼ねて、ものすごい高さの壁ができました。見えていた山が見えなくなりましたし、高さ10メートルのあの壁は子どもたちに大変な心理的圧迫感を与えています。
 また児童数が増加。空き教室不足のため、地域児童育成会室の確保ができず、待機児童がたくさんでています。冷房もなく、ここの子どもたちは、二重三重の負担を背負う結果になっているわけです。
 このような市内の学校の教育環境についての見解と、今後どのような整備をしていただけるのかお伺いいたします。
<教育長答弁>
  厳しい財政状況の中、直ちに格差を解消する事はできないが、順次教育環境の整備を図っていきたい。
■A学校間格差と教育の機会均等について

 教育基本法第1条(教育の目的)には、教育は人格の完成をめざし・・・と謳われています。義務教育の根幹は、機会均等と水準確保と無償制であり、すべての子どもに法律で保障された権利です。
 しかし、学校選択制の先行都市では、学力テストの結果が公表され選択の基準になったり、根拠のない風評によって不人気校が忌避される悪循環がおこり都心に過疎校が生まれたりする現象があります。子どもも保護者も振り回されている感は否めません。
 学力情報を公開できるものにばかり目がいき、本当に大切な、目に見えない学力である「思考力・判断力・表現力」がないがしろにされる傾向にも危惧をおぼえます。
 自由選択や競争が行き過ぎると、★全体の底上げ★がおろそかになり、弱い立場の子どもの切り捨てにつながるおそれはないでしょうか。
 東京都のある区の教育委員会幹部は「こうも差が開くのでは3年もすれば選択制は見直しでしょう」と述べたと報道されています。
 このように学校間格差が開くことと、教育の機会均等についてどう考えられますか。
 また、選択制先行地での、学力ではかるランク付けについてはどう思われますか。
 先行地の実態と課題についてお伺いいたします。
<教育長答弁>
  そのことは公教育において、取り組まなければならない基本的事柄であるので、今後とも審議会で充分に審議をしていただけると考えている。
■B「地域が支える学校づくり」について

 先日、第4回学校改革審議会を傍聴しました。
学校選択制・二学期制についてあと数回の審議で答申がだされる予定です。当日はPTA関係者や各種団体の方々&議員など十数人の傍聴者がいました。第1回目に比べるとだんだん増えてきており、市民の関心も向いてきたのかもしれません。
 今回のメインは中学校・小養護学校それぞれの校長会と教職員の見解が示されたことです。まとめて言えば「ほぼ反対」だったようです。
その主な理由は、
@地域と一体になった学校づくりが必要なのに逆行する
A学校間格差の発生。それを助長しないか懸念される
Bある地域の学校を避ける等、差別意識の助長が懸念される
C登下校の安全確保面の不安がある
D年度当初の学級編成や人事の確定が遅れるなど学校現場に混乱が生じる
  おそれがある
C教育の「機会均等」との関連で、抽選による決定の不平等さ
  (+きょうだい別々になる可能性)や、経済的な理由で選べたり選べなかった
  りする不平等に対する意見も出されました。
 PTA代表からは、子どもの通学の安全を確保できるのかという懸念や、不安を残したまま実施しないでほしいとの要望がありました。「もっと学校をよくしなければならないと、先生方に思ってほしい」という切なる願いは、この件ならずとも真摯に受けとめるべきでしょう。
 学識経験者は、学校関係者から重要な課題が示されたことを受けて弾力的運用の拡充という点で進めればいいのではないか、とまとめ的な意見を述べられました。
 さらに、初めて出席された別の委員からは、選択制によって教職員の意識改革や活性化が本当に達成されていくのか?という基本的な疑問もだされました。
 地域の代表である自治会関係者からの、「行きたくない学校から、行きたくない地域というものが生まれるならば、今日まで積み上げてきた同和教育・人権教育の根幹が揺らぐおそれがある」という発言は、大変重い問題提起であると思いました。
 一方、自由選択制をするかしないかの議論ではない、するのが当たり前だという問答無用の意見の委員もおられました。
 審議会の今後の方向性が示され、広報などの方策がでておりますので、それについて質問いたします。
 教育広報宝塚を通じ、学校選択制、2学期制について、広く市民に情報提供を行う。ということですが、どのような情報提供なのでしょうか。素案がありましたら教えてください。
 保護者・子どもにアンケート調査を行う。となっていますが、どんな学校選択制として意見を聞くのでしょうか。 昨年の5月20日の新聞には「完全自由化」を目標に・・・という記事が掲載されましたので、選択制というのは、誰でもがどこの学校へでも行ける制度だ、と思っている市民もおられます。子どもたちの意見や希望をしっかり汲み取るためにも、誤解を招かないよう説明が必要です。
 アンケートはどのような問いかけ方をするのかが大切です。意図的に行えば、質問それ自体がすり込みになりかねませんので、言葉を慎重に選んでほしいと思います。
 次に、先日の審議会では、「学校関係者の意見をまとめた資料を議会に公開しないようにしましょう」という決定がなされました。広範な意見聴取のなかにあげられている、学校関係者の意見の取り扱いについてと、議会からの意見聴取についてお伺いいたします。
 教育を受ける側の子どもたちや保護者は、何を求めているのでしょうか。通学が安全で、落ち着いた環境のなか、いじめにあうことなく、友達と楽しくのびのび過ごせる、地域に開かれた学校を望んでいるのではないでしょうか。
 「魅力ある学校づくりが大前提」といえます。
 また、震災の教訓として、「子どもの顔が見える地域」「地域コミュニティの確立」が謳われ、宝塚市あげて「地域が支える学校づくり」に取り組んできている経過があります。このことは、単に学校の問題ではなく、安心安全の宝塚市のまちづくり、にとっても重要であると考えています。 
 災害発生時の子どもの安否確認や、保護者への連絡・引き渡しなどの観点と、学校選択制の関連についてどう考えておられるのかお聞かせください。
<教育長答弁>
  地域で子どもを守り育てることは、制度の導入に関わらず大切なことなので、地域コミュニティーとの関係をさらに密にし、連携を深めていきたい。
 
学校選択制・二学期制 2次質問
 私は、議論が子ども主体で進んでいるのか、子どもの心にどう響いていくのかを常に考えていきたいと思っています。
 学校は旧態依然としていてはいけないと思います。
しかし、改革によって「傷つく子ども」があってはならないとも思います。子どもたちは「実験」の道具ではないのですから。

 何十年という実践によって蓄積されてきたシステムを変えることは、慎重のうえにも慎重であるべきだと考えます。
 この点につきまして再度見解をお伺いいたします。


<当局答弁>
  (後日、掲載予定)。
 
 
 
 
 

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