4.次世代育成支援行動計画について
 21世紀、私たちは少子長寿社会を迎えています。2004年10月に行われた 内閣府政府広報室による「少子化対策に関する特別世論調査」では、国民の約8割が、少子化の進行により我が国の将来に危機感を感じている。また、多くの国民が、年金や医療費の負担など社会保障に与える影響を強く懸念している、との結果がでています。
 このように少子化は、ややもすれば社会経済的側面からのみ捉えられがちです。しかし、それにも増して危惧されることは、子どもたち同士の関わりや切磋琢磨の機会が奪われていることです。
 地域社会で自然にそういう機会に恵まれた時代とは違い、現代は大人が意識的に、子ども同士や世代を越えた交わりの機会を作っていく必要性があるのではないでしょうか。なぜなら、幼少時代のそうした体験は、心の豊かさや思いやりを育み、社会性を養うことにつながると考えるからです。
 現在宝塚市で審議中の、次世代育成支援行動計画素案、たからっ子「育み」プランができましたので、それについて何点か質問させていただきます。
■@子どもの権利について

 まず、子どもの権利についてです。福祉・教育・医療など、子どもの問題に関する行政窓口の一本化が示されているのでしょうか。縦割り行政によるものではなく、有機的なつながりのある個別事業を展開していくためにぜひとも必要ではないかと思います。 
 子どもの豊かな暮らしや育ちのためには、権利行使主体としての子どもの権利が保障されることが、まず大切ではないでしょうか。そのためには、子どもの権利条約や子どもの権利委員会が日本政府に出していた総括所見などが論議され、それに基づく施策がもりこまれなければなりません。
 また、国際人権条約・女性差別撤廃条約・教育における人種差別撤廃条約・障がいのある子とない子のインクルーシブ教育の原則を掲げたサマランカ宣言などが、適切にふまえられているでしょうか。 
 さらに、国際結婚で生まれた子どもたちだけでなく、外国籍の子どもたち、国籍を所有できていない子どもたちも、必要な支援が差別なく受けられるようにしなければなりません。
 子どもの権利の保障が十分に考えられ、盛り込まれようとしているのかをお伺いいたします。。
<市長答弁>
  子どもの権利保障に関しては、現在、市社会福祉審議会の中で子どもの人権擁護推進が揚げられている。また、窓口の一本化については、子ども室を事務局として、子ども施策の総合調整を図っていく。
 
■A プレーパークについて

 厚生労働省によりますと、保育以外の子育て支援サービスへの期待度調査の結果、子どもを遊ばせる場や機会の提供を望む人が約9割と、最も多くなっています。
児童館の充実や、プレーパークづくりが望まれます。 
 私は9月議会でもプレーパーク常設化の要望をさせていただきました。
 宝塚市には豊かな自然がありますし、都市公園法の改正により、従来の「清く正しく美しく」の公園イメージから一歩抜けだす道も開けました。穴掘りや木登りができる場所を、創り出したり、探し出したりしていけないでしょうか。 資料(羽根木プレーパーク写真)
 そのためにも、教育関連・児童福祉関連・公園緑地関連などの、「関連部署混成プロジェクトチーム」を作り、総合的な推進を望みます。
 育みプランのなかに、プレーパーク実現を支援する施策は盛り込まれているのでしょうか。

<当局答弁>
  (後日、掲載予定)。
 
■B 仕事と子育ての両立について

 三点目は、仕事と子育ての両立についてです。
資料の2002年第12回出生動向基本調査が示す通り、「女性が理想の数の子どもを持とうとしない理由」で、群を抜いて一位になっているのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」です。
 ところが、子育てや教育にかかわる経費の負担軽減に関する施策は、策定指針にほとんどでていません。ある研究者によれば、少子化対策の財政支出は高齢者対策のためのそれに比べて、足元にも及ばない状況にあると言われています。これではこうした不安は解消されません。
 昨年文教厚生常任委員会で視察に行きました秋田県では「秋田で子育て!」をキャッチフレーズに、第3子以降の子どもの、保育所や幼稚園の保育料無料・3才未満児の最高保育料を低額に設定するなど、負担軽減施策が行われています。
 さらに、2003年度からは、第1子のゼロ歳児の保育料を無料にし、秋田県と秋田市が1/2ずつ費用
を負担しています。
 本市でも、たとえば児童手当の増額あるいは保育料の引き下げなど、なにか具体的な負担軽減施策を考えて、教育不安の解消に全力をあげていく必要があると思います。
 そうした施策がなければ、〜子どもを育むことが未来を育む。「育む」ことが楽しくなるまちへ〜
という基本理念は、なんの意味も持たず、この事業は絵に描いた餅になってしまうでしょう。この点について当局の見解をお聞かせください。
 続いて、仕事と子育ての両立に向けての施策が中心になっているのかを質問します。
 私は、男女がともに、平等に働きながら、子育てできる社会こそが、子どもの暮らしや育ちにとって望ましい社会だと考えています。そのために、子どもの権利条約だけでなく、1996年に批准した 国際労働機構「ILO156号条約」→「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約」を、策定に関して考慮したいものです。
 このことを具体的にわかりやすく説明します。資料は、家族政策と出世率の関係を表したものです。
縦軸が 1.0人から2.2人までの「出生率」
横軸が 55%から90%までの「労働力率」をあらわしています。
 典型的な国をいくつかあげます。
 フランスは、出生促進型・保育に対する現金給付が充実しています。「子育て支援充実型」です。
 アイスランドなど北欧諸国は、男女共同参画型です。
継続就労・子育て両立型で、これらの国は、女性の労働力率も出生率も高い傾向があります。
 ドイツは、伝統家族型。「家庭内育児強調型」で労働力率は高いが出生率は低い傾向にあります。
 日本は、労働力率・出生率 両方とも低いです。「政策焦点矛盾型」つまり、専業主婦優遇策と就労支援の並列なのです。給付は貧相。保育は比較的整備されているが足りず、育休制度は比較的整備充実しているが、利用できるかどうかの問題があります。
 何がわかるかというと、仕事をする環境が整った国の女性は、子どもを産む。ということ。
 すなわち、日本の女性の出生率をあげるためには、仕事と子育ての両立ができる社会の仕組みと支援が必要である、ということがわかるのです。
 そこで質問いたします。本市の たからっ子「育み」プランは、仕事と子育ての両立にむけての施策が中心になっていますか。
<当局答弁>
 本市においても経済的負担の軽減を望む声が多く今後とも国や県に要望していく。
 男女が、ともに仕事と子育ての両立が可能となるような職場の環境づくりを推進するよう、企業に対する啓発をすすめる。
 
 

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