青森県八戸市「全国都市問題会議」 視察研修報告 | - 2023/10/19
- 第8回全国都市問題会議(八戸公会堂)
第1日 10月12日 〈テーマ〉 「文化芸術・スポーツが生み出す 都市の魅力発展」
〈基調講演〉 演題:アートの役割って何だろう 講師:日比野克彦さん(東京藝術大学学長) ・アートは「生きる力」→イメージする力、想像力 ・アートは多様性ある社会を築く基盤 ・アートは社会的な課題に対して持続的に取り組み続けていくために大切。 アートが人に及ぼす機能、可能性を考え、現代社会の中での人に対しての捉え方で分析する。それを一人ひとりの日常の行動に生かしていけたらいい。
〈主報告〉 演題:八戸市の文化・スポーツによるまちづくり
報告:熊谷雄一さん(八戸市長) A 文化によるまちづくり B スポーツによるまちづくり ・地域資源を活かす拠点とネットワークをつくること ・関心やテーマに基づくコミュニティーと当事者を増やすこと 今後の展望 → 開かれたパブリックな場をつくること 八戸美術館、八戸ブックセンター、八戸ポータルミュージアムはっち マチニワ、YSアリーナ八戸
〈一般報告〉1 演題:まちづくりの活力は地域に根ざした文化政策から育まれる 報告:吉川由美さん(文化事業ディレクター、演出家) ・「危機と文化」 2011年東日本大震災後の南三陸町は、まちの主要部と基幹産業、行政機能を丸ごと失った。2016年戸倉地区の漁師たちは、日本初の牡蠣養殖の国際認証を取得。豊かな海を未来に繋ぐために、養殖の筏を3分の1に減らし、質の良い牡蠣養殖で大成功した。 ・八戸の中心市街地を関心空間にする。 ・フラットなコミュニケーションの場を創る。 ・地域資源の価値をみんなで見出す
2 演題:標高差1500mの地勢を活かしたスポーツ・ツーリズムの創出 報告:花岡利夫さん(長野県東御市長) 地域固有の価値を創出し最大限に活かす取り組み ・湯の丸高地トレーニング施設 高地トレーニングでは、高地の低酸素状態で、血液中の酸素を体内に運ぶ能力を高めることができる。東京オリンピックで金メダルを獲得した大橋悠依選手がここでトレーニングを行った。当時の日本代表ヘッドコーチの平井伯昌さんからは「東御の施設があったから大橋の金メダルがあった」との言葉をいただいた。
一般報告 3 演題:まちづくりにおけるプロスポーツクラブの有効活用 報告:鈴木秀樹さん(鹿島アントラーズFC副社長) ・全国に広がるプロスポーツクラブ ・鹿島アントラーズと地域との深いつながり ・鹿島アントラーズによる地域の社会課題解決 → → 医療・教育機関が乏しいこと → カシマスタジアムに隣接する「アントラーズスポーツクリニック」を設立 アントラーズのチームドクターと理学療法士が整形外科医療、リハビリの 高度なノウハウを地域に還元する形を整えた。
全国都市問題会議 第2日 10月13日 パネルディスカッション 〈コーディネーター〉 小林真理さん(東京大学大学院人文社会系研究科教授) 「文化政策とはどのような領域か」 ・一巡した文化芸術を活用したまちづくり ・自治体文化行政から魅力的なまちへ 国で文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律(通称:文化観光推進法)が制定されたのが2020年である。文化庁の説明によると文化観光は、「文化の振興を、観光の振興と地域の活性化につなげ、これによる経済効果が文化の振興に再投資される好循環を創出することを目的とするもの」と位置付けられている。
〈パネリスト〉A 今川和佳子さん(合同会社imajimu 代表取締役) 「八戸の独自性が生み出してきたもの」 「はっち」のアートディレクターとして活躍 その場に行かなければ得られないもの、出会えない人やコトが集まる場。 市民が観客としてではなく、当事者として自らも参加したり、創作したりできる形でつくることが、「はっち」運営のキーコンセプトである。
〈パネリスト〉B 松橋崇史さん(拓殖大学教授) 「地域活性化におけるスポーツの役割とその変化」 プロスポーツクラブの創設、育成、スポーツイベントの誘致、開催、集客施設の開設運営など、全国各地で多くの取り組みが行われるようになった。 また、トップスポーツから、身近なスポーツ環境に目を移すと、国内ではパラスポーツが一気に身近になった。多様性を体現するというスポーツの新たな特色が生まれたのである。
〈パネリスト〉C 頼重秀一さん(静岡県沼津市長) 「スポーツとアニメを活用したにぎわいの創出」 ・フェンシングのまち沼津 ・サイクリストフレンドリーエリア沼津 ・アニメ「ラブライブ!!サンシャイン!!」を活かしたまちづくり 聖地巡礼 回遊性を高める取り組み 沼津まちあるきスタンプ(民間) 市制100周年コラボポスター
〈パネリスト〉D 山ア善也さん(京都府綾部市長) 山ア善也さん(京都府綾部市長) 「文化芸術・スポーツで紡ぐまち綾部 市民一人1文化、1スポーツの推進」 ・合唱のまち・綾部 ・市歌に愛着を持つ市民 ・みんなであやべの歌を歌う会・・・・参加すること・楽しむこと
・豊かな自然を活かしたスポーツによるまちづくり → あやべ水源の里トレイルラン。 豊かな自然をフィールドに交流人口創出。
全国都市問題会議 in 八戸 第2日午後 <視察研修> Aコースに参加した。 みろく横丁など マチニワ →はちのへAI(アイ)バス・中心街活性化プロジェクト 中心街の賑わいを創出する各種アプリシステムの開発や、バスICカードポイント付与システムの開発を実施し、コロナ禍で疲弊した八戸中心街の賑わいを復活させる。マチニワは歩いて回遊したり、座ってお茶を飲んだり、自由に過ごせる憩いの場所としてつくられた。開放的な空間。冬はガラス戸を閉める。
八戸ポータルミュージアムはっち 伝統文化から芸術、人の育ち、人の交流 地域資源の魅力を創出・発信し、文化芸術、産業、観光、市民活動、子育て支援といった各施策を一体にした施設。 八戸の魅力を紹介する展示や、伝統産業の展示、さらに、ものづくりのクリエーターを支援して出店への試行も。 「こどもはっち」では子どもと大人がゆったり過ごせる。
八戸ブックセンター 市が経営する本屋さん 公営のブックセンターは、書店機能を持つ「本のまち八戸」の拠点施設。 ・運営の基本方針は → 本を「読む人」を増やす、本を「書く人」を増やす、本で「まち」を盛り上げる ・企画を担う専門人材を確保 ・市内の全小学生に2000円のマイブッククーポンを配布し、書店で本を買う体験をさせる。
八戸美術館 ・市民と文化芸術活動の拠点と「アートのまちづくり」の中核施設。 ・アートを通した出会いが、人を育み、人の成長がまちを創る「出会いと学びのアートファーム」をコンセプトとしている ・従来の美術展示が中心だった美術館と異なり、「ひと」が活動する空間を大きく確保している。 ・アートコミュニティを耕し、地域社会のことを考え。アーティストとともに創作活動に取り組む市民を「アートファーマー」と呼び、市民が主体的に美術館運営に関わることや、地域とのつながりを生み出すことを目指している。
<まとめ> 第85回全国都市問題会議には、全国から市長と市議会議員が多く参加していました。宝塚市議会からは市民ネット宝塚の議員2名で参加しました。 まちづくりの活力は、地域に根ざした文化政策から育まれるという実例をたくさん見聞することができました。そして、豊かな人生とまちの発展はともにあるものだと実感できました。 宝塚市議会議員 北野 聡子 | |